モノレールと言えば「ゆりかもめ」が思い浮ぶ方が多いと思いますが、実は意外にも「ゆりかもめ」はモノレールではありません。
今回はモノレールの種類と、「ゆりかもめ」がモノレールではない理由について解説していきます。
モノレールの種類
跨座式
モノレールと言えば、この跨座式(こざしき)の形が真っ先に思い浮ぶ方が多いでしょう。
跨座式は空中に架設した1本のレールの上を走行するモノレールで、写真の東京モノレール羽田空港線以外にも、以下の路線で採用されています。
- 多摩都市モノレール多摩都市モノレール線
- 舞浜リゾートラインディズニーリゾートライン
- 大阪高速鉄道大阪モノレール線/国際文化公園都市線
- 北九州高速鉄道小倉線
- 沖縄都市モノレール沖縄都市モノレール線
懸垂式
モノレールのもう一つの走行形式が、この懸垂式(けんすいしき)です。空中に架設したレールから車体を吊り下げて運行しています。
ちなみに僕は跨座式は何度か乗ったことがありますが、懸垂式は乗ったことがないので、機会があればぜひ乗ってみたいですね。ただし、小心者なので、いざ乗るとなるとビビってしまいそうな気がします(笑)
懸垂式は写真の東京都交通局上野懸垂線以外にも、以下の路線で採用されています。
- 千葉都市モノレール1号線/2号線
- 湘南モノレール江の島線
- スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線
ゆりかもめがモノレールではない理由
ゆりかもめはタイヤで走っている
「ゆりかもめ」はこうして正面から見るとふつうの電車のように見えます。
そもそもモノレールは「mono=1つのもの」と「rail=レール」が語源で、1本の軌条により進路を誘導されて走る軌道系交通機関です。ですから「ゆりかもめ」はモノレールと呼べるような形ではないのです。
ちなみにこの写真では分かりづらいですが、「ゆりかもめ」は自動車のように1車両に4つのタイヤがついて走っています。
ゆりかもめのシステム
この「ゆりかもめ」のような運行システムは『Automated Guideway Transit(AGT)』、日本語では自動案内軌条式旅客輸送システムと呼ぶようです。
ただし、タイヤで走る方式がAGTではなく、自動運転によって専用軌道を案内軌条に従って走行する中量輸送の旅客輸送システムがAGTと呼ばれています。
しかし、AGTという言葉も、自動案内軌条式旅客輸送システムという言葉も、一般的には全くなじみのない言葉ですよね。「ゆりかもめ」のホームページを見ても、AGTではなく新交通システムとして紹介されています。
新交通システムという言葉には定義がなく、モノレールやAGTのほか、動く歩道までも含まれていますので、この辺りは非常にややこしいです。むしろ「ゆりかもめ」という名前のほうが有名過ぎるので、なんとなく新しい鉄道システムである「ゆりかもめ」をモノレールだと勘違いしている方が多いのでしょう。
ちなみに国内で走行しているAGTは、「ゆりかもめ」以外にも以下の路線があります。
- 埼玉新都市交通伊奈線
- 西武鉄道山口線
- 山万ユーカリが丘線
- 東京都交通局日暮里
- 舎人ライナー
- 横浜シーサイドライン金沢シーサイドライン
- 桃花台新交通桃花台線
- 大阪市交通局南港ポートタウン線
- 神戸新交通ポートアイランド線/六甲アイランド線
- 広島高速交通広島新交通1号線
僕も「金沢シーサイドライン」に初めて乗った時に「初モノレール!」と勘違いして感動しちゃいましたので、「ゆりかもめ」をモノレールと勘違いしてしまう気持ちも分かります。
しかし、今回をきっかけに「ゆりかもめはモノレールではない」と覚えて頂けると幸いです。