『かいほう』と打ち込むとたくさんの変換候補が出てきますが、迷いやすいのが「解放」と「開放」ですよね。
どちらも自由なイメージがありますので、悩んでしまうのも仕方がないかもしれません。
しかし、友人同士のメールでのやり取りならいざ知らず、仕事でこの2つの漢字の使い間違いは、なるべく防いでおきたいものです。
そこで今回は「解放」と「開放」の違いや使い分けについて解説していきます。
解放と開放の違い
解放と開放の意味
「解放」と「開放」の意味を調べてみると、このように解説されていました。
【解放】
束縛(そくばく)されたり、制限されたりしているものを、ときはなして自由にすること。【開放】
門や戸などをあけはなすこと。あけたままにしておくこと。制限をなくして、自由に出入りさせること。出典:goo辞書
どちらも「制限」と「自由」という言葉が解説に入っているので、ちょっと分かりにくく感じるかもしれませんね。
しかし、『どのような状況から制限がなくなったのか?』という部分に注目すれば、「解放」と「開放」の違いは分かりやすくなります。
つまり、反対語を考えてみるのです。
- 解放 ⇔ 束縛・拘束(縛る・捕らえる)
- 開放 ⇔ 閉鎖・閉塞・施錠(閉じる・閉める)
例えば「人質を”かいほう”する。」なら、人質は拘束されて自由が制限されていますので『解放』です。
しかし「人質の部屋を”かいほう”する。」の場合は、自由が制限されていたのは人質でも、”かいほう”したのは閉鎖されていた部屋なので、『開放』となります。
何を”かいほう”したのか?
もう一つ注目してほしいのが「何を”かいほう”したのか?」という部分です。
基本的に、人や動物などは「解放」、建物や場所などは「開放」です。
なぜなら、建物や場所は束縛・拘束できるものではありませんし、人や動物は閉鎖・閉塞・施錠できるものではないからです。
先ほどの例でも、人質は人間なので「解放」、人質の部屋は場所なので「開放」と考えることもできます。
ただし、ちょっと難しいのが人の心や気持ちについてです。
特に解放感・開放感や、解放的・開放的のように、人の心や気持ちが表されることがあります。
そこで次からは、この4つの使い分けについて解説していきます。
解放感と開放感
- A.仕事を終えた解放感はたまらない
- B.この部屋は広くて開放感がある
どちらも誰もが一度は感じたことのある”かいほうかん”ですよね。
しかし、なぜ同じように人が感じる”かいほうかん”でも、使う漢字が違うのでしょうか?
この場合は、その”かいほうかん”を感じた理由と、最初に解説した反対語を考えてみると分かりやすくなります。
【反対語】
解放 ⇔ 束縛・拘束(縛る・捕らえる)
開放 ⇔ 閉鎖・閉塞・施錠(閉じる・閉める)
仕事は束縛・拘束されて行うというと、ちょっと語弊があるかもしれませんが、基本的には自由を制限されていることから、近い状態であると考えられます。
拘束時間という言葉もありますからね。
ですから、Aの文章の場合は、その状態から解放されて感じた感情だからこそ『解放感』になるわけです。
仕事以外にも、試験勉強や厳しい練習から”かいほう”されて感じるのも『解放感』です。
対してBの文章は、束縛・拘束されていた状態から”かいほう”されたわけではありません。
広々とした空間に対して感じた感情です。
狭い部屋には束縛感というよりは、閉塞感のほうが適切ですよね。
ですから、その反対語を考えてみると、Bの文章は『開放感』となるわけです。
解放的と開放的
結論から言うと「解放的」という言葉を使うことは、ほぼありません。
なぜなら、そういう状況がないからです。
例えば「”かいほうてき”な空間/場所」の反対は「閉鎖的な空間/場所」です。
よってこの場合は『開放的』を使います。
また、「”かいほうてき”な性格/気分」の反対は「閉鎖的な性格/気分」ですから、この場合も『開放的』を使います。
『開放的』という言葉を使うのは、この「空間・場所・性格・気分」以外にはありません。
ですから「解放的」という言葉を使う状況もないのです。
まとめ
今回は「解放」と「開放」の違いについて解説してきました。使い分けのポイントはこの2つです。
- 反対語を考えてみる(どのような状況から”かいほう”されたのか?)
- 人や動物などは「解放」、建物や場所などは「開放」(何を”かいほう”したのか?)
ちなみに、一般的な仕事で使う機会があるとすれば、ほぼ「開放」だけだと思います。
「解放」は、マスコミ関係の方や、社員が事件などに巻き込まれた場合以外は、あまり使うことはないでしょう。
ですから、間違えて書いてしまわないためにも、使っているPCで「かいほう」と打ったら『開放』が最初に出てくるように、今のうちに設定しておくことをオススメします。